1981年生まれ。
大久保さんが「画家になりたい」と思ったのは、まだ2歳のころ。
初めて目にしたジョアン・ミロの作品に衝撃を受け、その瞬間からアーティストになるという夢を抱いてきました。
小学生のとき、担任の先生に雲の描き方を教わり、水彩画に夢中になった日々。
好きな画家は、ジョアン・ミロ、ヒルマ・アフ・クリント、ピカソ、ブラック。
抽象画の、意味を限定しない自由さに惹かれています。
絵の意味が決められてしまうと、自分の感覚が少し狭まってしまうように感じるのだそうです。
現在も水彩画や、日常の動きのある自画像などを好んで描いています。


ゲームの写実を行う仕事に就き、10年間、絵を描くことから離れた生活を送っていました。
けれどあるとき、イタリアのミュージシャンに作品を褒められたことをきっかけに、「もう一度、描いてみようかな」という気持ちが芽生えます。その出来事が、再び筆を取る大きな転機となりました。
時にはストレスや感情の揺らぎを、そのまま絵にぶつけることもあります。
大久保さんにとってアートは、心の奥にある思いを受け止め、かたちにする行為でもあります。


大久保さんは色弱で、見えている世界は白・黒・グレーを基調としています。
それを知ったのは3、4年前。それまでは、それが当たり前の世界でした。
けれど作品には、驚くほど豊かな色彩が広がっています。
その背景には、視覚だけに頼らない“色の理解”があります。
20か国語を学び、色にまつわる言葉やその由来、歴史や文化的背景を知ることで、色のイメージを深めています。
色にはそれぞれ名前があり、その奥には物語があります。
言葉から色を想像し、意味から色を感じ取る。
視覚以上の解像度で色と向き合っているからこそ、作品の世界は鮮やかに彩られているのかもしれません。
「心はとても鮮やかなんです。思いに色がついてくるようで。」
その言葉の通り、大久保さんの絵には、内側からあふれる色があります。


にっとのことは、ご自身で検索し、アートワークに参加したことがきっかけでした。
「高橋さん(法人代表)や坂さん(管理者)が、“ありのままの自分でいいんだ”と思わせてくれるんです。」
自由に、心のままに表現できる場所。
自分は機械ではなく、自分らしさを追求できる場所。
ここで制作を続ける中で、
「等身大の自分でいい。気取らない自分でいいのだと思えるようになった」と話してくれました。
これからも、思いの丈をそのままアートにぶつけるような作品づくりを続けていきたい。
思い浮かんだ日常が絵の世界の中で実現し、そこにもう一つの世界が存在しているような表現を目指しています。
そしていつか、対話型アートにも挑戦してみたい。
さらに、能面材の技術で額縁をつくるという夢もあります。
「人をほのぼのとさせる作家でありたい。」
見る人それぞれの感じ方を大切にしながら、
今日も大久保里枝さんは、自分だけの色で世界を描いています。







