1971年生まれのアーティスト、歩さん。
3歳から18歳までを桐生の両毛整肢療護園で過ごしました。
併設された養護学校では、リハビリの授業に熱心に取り組み、できることを一つずつ積み重ねてきました。

歩さんは、いつもニコニコしています。
やわらかく穏やかな雰囲気を身にまとい、その場の空気までやさしく包み込むような存在です。
歩さんのまわりには、自然と穏やかな時間が流れ、気づけば周りの人もニコニコしています。
「何でもやり過ぎない。手を抜くときは抜くんだよ。」
そう話す姿もどこか軽やか。
けれどその奥には、しなやかで強い芯があります。
絵との出会いは小学生のころ。
虫歯予防のポスターが入選したことをきっかけに、たくさん絵を描くようになりました。
また高校時代には、そろばんで挫折した体験を絵にして応募し、入選した思い出もあります。
うまくいかなかったことも、悔しかったことも、
歩さんは“描くこと”で自分の中に受け止めてきました。
子どものころ、自転車の練習で何度も転び、傷だらけになった経験があります。
それでも挑戦することをやめなかった。
歩さんは、諦めずに挑戦し続けられる芯の強さを持っています。
普段は、気の向くままに描きたいものを描くのが好き。
写生は身体的に難しさがあるため、自由に広がる抽象画が自分には合っているといいます。



のびやかに広がる色やかたち。
そこには、枠にとらわれない自由さがあります。
そして歩さんの絵からは、
自分の中にある何かをそっと解き放ってくれるような優しさを感じます。
見る人の心をゆるめ、「そのままでいいよ」と語りかけてくれるようなあたたかさがあります。


「みんなが自由に感じてもらえるようなアーティストになりたい。」
その言葉の通り、歩さんの作品は、見る人それぞれの感じ方を大切にしています。
穏やかさの中にある強さ。
やさしさの中にある挑戦心。
今日も歩さんは、自分のペースで、
そして自分らしく、描き続けています。







