こんにちは!
アトリエにっとスタッフの飯嶋です。
この1年間、公式サイトのブログやにっと新聞を担当しながら、にっとのメンバーさんやスタッフのみなさんと関わらせていただいてきました。
日々の制作の時間や何気ない会話の中に、ここにはたくさんの笑顔と温かさがあふれています。
これまで私は、にっとの活動やメンバーさん一人ひとりの魅力、そして現場で感じた想いをお届けしてきました。
そして、アトリエにっと蔵前ユニットは、開所して1年を迎えます。
今回のブログは特別企画。
これまでのにっとの歩みを振り返りながら、法人代表理事の髙橋、そして管理者兼サービス管理責任者の坂に、アトリエにっとへの想いやこれからについてお話を伺いました。
にっとが大切にしてきたこと。
そして、未来へつなげていきたいこと。
その声を、ぜひ最後までお読みいただけたら嬉しいです。

Q:蔵前ユニット開所から1年。1年を振り返って、どんな変化がありましたか?
A:髙橋)
アトリエにっとのメンバーは、ほぼ倍に増えました。
個性豊かなメンバーやスタッフ、そして関わってくださる企業や地域の方たちも増え、笑顔がとても増えました。
アトリエにっとを取り巻く関係人口が増え、人と人との関わりがとても増えたことで、メンバーもスタッフも、関わる皆さんが生き生きしているように感じます。
A:坂)
開所から、はや一年ですか。
障がいの有無に関わらず、自然な地域のつながりの中で、多種多様なイベントや企画にお誘いいただきました。
地域とのつながりを大切にしたくて、積極的にイベントへ参加してきました。最初は、メンバーやスタッフが少し戸惑う姿もありましたが、回を重ねるうちに、それぞれが自分らしく関われるようになっていきました。
メンバーもスタッフも、その“バラエティ”に当初は戸惑いつつも、気が付けば一緒に楽しんでいますね。
ひとつひとつの出来事が、蔵前での一年をつくってきました。
開所1年目でこれだけ多く地域へ参加している福祉事業所は珍しいです(笑)



Q:2拠点目に蔵前を選んだ理由を教えてください。
A:坂)
台東区は、私が生まれ育った場所。
いつかは地元で施設を立ち上げたい、という思いがずっとありました。
そしてもう一つは、約18年の福祉経験の中で築いてきたネットワークのおかげです。
2024年1月に江東平野ユニットを開所し、多くの反響をいただく中で、次の拠点となる物件がなかなか見つからず、正直困っていました。
そんな時、のちに台東蔵前ユニットとなる場所で「地域のつながり事業(KURAMAEモデル)」を展開していた縁の木の白羽さんから、
「ここでできるか、考えてみようよ!」
と声をかけていただいたんです。
あの一言がきっかけで、蔵前ユニットの開所が実現しました。
「とにかく困ったら、周りに相談してみる。」
その大切さを、改めて強く、強く感じた出来事でした。
Q:地域とのつながりについて、どのように感じていますか?
A:髙橋)
蔵前ユニットが開所してから、本当に多くの方が施設内に出入りしてくれています。
その中でもtamesiteya(戸矢さん)やパラコードのPARACO(山田さん)との繋がりは太く、ほぼ毎月顔を見せていただいています。
地域の方に認知してもらうことで、「アトリエにっとの人だね」と声をかけてもらえるようになりました。
施設内であれば支援スタッフの目が届きますが、一歩外に出た時にも見守ってくれる方が増えている。
その安心感を感じています。
A:坂)
まさに「ご近所付き合い」という感じです。
いつの間にか一緒に活動させてもらっています!
メンバーも“お知り合い”になってからは、次はいつ来るのか楽しみにしている様子が見受けられます。
“外でも顔が合えば声を掛け合う仲”になっていることを実感して、大変うれしいです。


Q:「安心できる場」であるために、大切にしていることは?
A:髙橋)
本人一人ひとりとの信頼関係を大切にしています。
スタッフとメンバーが、心配事の種や嬉しかったこと、悲しかったことなど、なんでも言い合える空気感をつくること。
できないことを探すのではなく、できることをどんどん見つけられるよう、常にアンテナを張っています。
その人の「好き」や「得意」を見つけ、みんなで認め合える場でありたいと思っています。
また、メンバーだけでなく、スタッフにとっても心理的安全性が担保されるような、風通しの良い職場づくりを目指しています。
A:坂)
メンバー一人ひとりにとっての「安心できる居場所」となることは、決して容易なことではないと実感しています。
就労を安定させるためには、まず基盤となる生活――収入や家族関係、居住環境、保険や金銭管理など――を整えることが大切です。
そのうえで、それぞれの特性や性格を理解し、適度な距離感を保ちながら関わること。
言葉だけのコミュニケーションに頼らず、傾聴の姿勢で寄り添い、多様な時間を共有していきます。
苦楽をともにしながら、関係を築いていくのです。
就労支援事業所として、社会とつながり、収入へと結びつき、達成感を味わうところまでを共にする。
そこまで伴走してこそ、初めて「安心できる場所」と言えるのではないかと思っています。

Q:印象的だったエピソードはありますか?
A:髙橋)
通所し始めの頃、何をしていいか困っていた方がいました。
アートを描きたい気持ちはあるけれど、周りの作品に少し萎縮してしまい、なかなか描き始められない。
スタッフと模索を重ね、図鑑を見たり、バスの話をしたり。
そんな中、持ち物にバスケット関連のものが多いことに気づきました。
「バスケットが好きなんですか?」
「はい!」
そこから、好きなチームや選手の話に広がり、
「バスケットボール描いてみる?いつか選手に見せられたらいいね!」
「描く!」
少しずつ描き上げた作品は、名刺の裏や封筒にも使われるようになりました。
その後、その方は「やります」と積極的に関わってくれるように。
笑顔も増え、本人のペースでにっとに浸透してくれていると感じます。
Q:お二人が感じる「にっとらしさ」とは何ですか?
A:髙橋)
メンバーやスタッフはもちろん、にっとに関わる人が何かしら「にやっと」笑顔になること。
そして、その“にやっと”を生み出そうとするスタッフがいること。
関わる人の心が、少しでも安らぐ場をつくろうとする人が集まっていること。
それが、にっとらしさだと思います。
A:坂)
メンバーご本人やご家族は、私たちと出会うまでの間に、たくさんの苦労や葛藤を経験されています。
傷ついたり、あきらめざるを得なかったこともあったのではないかと、胸が痛くなることもあります。
だからこそ、私たちと出会ったことで、1秒でも「ニヤッ」とできる瞬間が増えてほしいと思っています。
それぞれが表現したアートを褒め合い、ときめき合えること。
そんな温かい空間でありたい。
それが、アトリエにっとです。
初めて来た頃や、就労を始めて間もない頃の少し硬い表情が、
仲間との時間を重ねる中で、ほんの少し頬が綻ぶ瞬間があります。
「あ、慣れてきているな」「仲間になり始めているな」
そんな予感を感じたとき、私は心の中で飛びはねています。

Q:これから目指していきたいことを教えてください。
A:髙橋)
障がいの有無に関わらず、誰もが安心して暮らせる社会を、アートを通して紡いでいきたいと思っています。
まずはアートの力で、社会と福祉を自然につないでいくこと。
「障がい者」というカテゴリーで括られるのではなく、
一人の人として、その人の“名前”で呼ばれ、認知される社会へ。
アトリエにっとは、その架け橋のような存在でありたいです。
A:坂)
「それぞれのペースやリズムに合った働き方」を提案できる場所でありたいと思っています。
そのために、傾聴の姿勢と包み込む気持ちを大切にするスタッフとともに歩んでいきます。
通所者・利用者として受け入れるのではなく、
この地で偶然出会った一人の人として。
その偶然の積み重ねが生んだ奇跡を喜びながら、
私たちと同じように、ひとりの人間であり、アーティストとして自然に社会とつながっていける場所にしたい。
「ちょっと楽しそうだな」
「ここは相談できる場所だな」
そしていつか、
「ここで出逢えてよかったな、生きててよかったな」
そんなふうに、一瞬でも感じてもらえたら嬉しいです。

最後に
今回お話を伺い、改めて感じたのは、にっとにはしっかりとした“心の土台”があるということです。
いろんな人がいて、いろんな価値観がある。
その違いを楽しみ、その人と出会えた喜びを分かち合える場所。
にっとは、そんな場所なのではないかと感じています。
一人ひとりと丁寧に向き合い、信頼関係を築き、安心を積み重ねてきたからこそ、メンバーさんもスタッフさんも自然体でいられる。
「にっとらしさ」の話を聞きながら、私自身のことも思い出していました。
少し辛いな、悲しいなと思う日でも、にっとに来ると、気づけばたくさん笑っていること。
私にとっても、にっとはそんな場所です。
坂さんの「多様性の理解や共生社会のヒントは福祉の現場にある」
という言葉も、とても印象に残りました。
社会では大きな目標として掲げられていることが、福祉の現場では日常として息づいています。
人と向き合うこと。共に生きること。
その積み重ねこそが、本質なのだと感じました。
そして、にっとは本当に地域に開かれた場所。
お互いが見守り、見守られている関係性が、自然に生まれている。
改めてお二人の言葉を聞き、これからのにっとがますます楽しみになりました。
今後のにっとの歩みも、ブログでお届けしていきます。どうぞお楽しみに!






