今回は、アーティスト「藏本勇(くらもといさむ)」のご紹介です。
絵を描くことが好きだった少年時代。
彼にとって絵は、心の中の世界をそっとのぞかせるような、静かで特別な時間でした。
大人になるにつれて、絵を描くことは次第に日常から離れていきましたが、20歳の頃、心の病をきっかけに再び筆を取りました。病院での創作活動でアニメの絵を描き始めたことが、その第一歩となり、そこから本格的に制作に向き合うようになります。その後、絵画教室に出会い、絵の具の扱いやデッサンの基礎を学びながら、少しずつ自分の表現を深めていきました。
もともと写真が趣味だった彼は、旅行先や日常の街歩きで撮影した風景や食事の写真をもとに作品を制作しています。
日々の暮らしの中でふと心に残った瞬間を丁寧にすくい上げ、絵というかたちでそっと残していく。そのスタイルは、彼自身の感性の記録とも言えるでしょう。
最近では、下町の古い建物を題材にした透明水彩の作品に力を入れており、透明感のある色彩と“ふわっとのる”柔らかなタッチで、レトロな味わいを表現しています。1つの作品にかける時間は半日から2日ほど。スピーディーでありながら、空気感や構図には強いこだわりが込められています。

インスピレーションの源は、日々の暮らしの中にたくさんあります。週に一度は美術館へ足を運び、さまざまな作品に出会いながら、自分の中に新しい感覚を取り込んでいきます。そして、「自分も描いてみたい」と感じたテーマに出会ったとき、作品は自然と生まれていくのです。


「アトリエにっと」との出会いは、アートワークへの参加がきっかけでした。
アートレンタルを通して企業に作品を届ける体験や、さまざまな人と出会うことは、彼にとって大きな刺激であり、喜びにもなっています。
普段はひとりで向き合うことの多いアート制作ですが、ここでは仲間と空間を共有しながら創作できるため、思いがけないアドバイスや意見に触れ、互いに励まし合いながら、穏やかで心地よい時間を重ねています。

いつか、描きためた下町の建物の絵を集めて、展示を開いてみたい。
作品を通して懐かしさやぬくもりを届けられたら―そんな想いを胸に、彼は今日も筆をとります。
「作品の受け取り方は人それぞれ。でも、自分がこだわった細かい部分や、表現の工夫に気づいてもらえたときは、本当にうれしい。作品を通じて、どこか波長が合う人と出会えたらいいな、と思っています」
将来の夢は、自分だけの美術館をつくること。好きな作品たちを自由に展示して、アート制作もできる。訪れた人がふと何かに気づいたり、心がやわらいだりするような場所。そんな空間を、彼はいつか形にしたいと、静かに思い描いています。


ご関心のある方、アートレンタルをご希望の方、ぜひお気軽にご連絡ください。
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